骨粗鬆症

糖尿病の人は骨折しやすいって本当?

骨折・転倒は、脳血管障害、認知症に並ぶ要介護の主な原因のひとつです。そのため、骨折・転倒を起こすと、自立した日常生活を送ることができる期間である健康寿命に影響を及ぼしてしまいます。寝たきりを防ぐために糖尿病と骨折・転倒の関係について学びましょう。

糖尿病は転倒しやすい

糖尿病患者さんは転びやすく、転倒リスクは糖尿病でない人の1.5〜3倍です。 糖尿病患者さんが転びやすい理由には、合併症や血糖コントロールの不良などが挙げられます。

糖尿病患者さんの転倒の原因
網膜症等の視覚障害
末梢神経障害によるバランス能力の低下、歩行障害
低血糖によるふらつき
認知機能低下による注意力低下
高血糖による筋肉量の低下

糖尿病は骨折リスクが高い

糖尿病患者さんは、糖尿病でない人に比べて骨折しやすく、1型糖尿病では約6.9倍、2型糖尿病では約1.4倍骨折リスクが高まります。 高齢者の場合、転倒により骨折する場合が多く、特に足のつけ根を骨折すると寝たきりになりやすいので、注意が必要です。また、転倒による骨折の他に、骨強度が低下し骨折しやすくなる骨粗しょう症も糖尿病患者さんの骨折に関係があります。

糖尿病でインスリンの働きが低下すると、骨が十分に形成されなかったり、活性型ビタミンDが不足してカルシウムが腸から吸収されにくくなったりします。

2型糖尿病の場合は、骨の強度を構成する要素の一つである骨質が劣化するため、骨折リスクが高まります。骨密度は高くても、糖尿病でない人の約2倍骨折しやすいことが2型糖尿病の問題です。

注目!長寿ホルモン"ビタミンD"

ビタミンDは、筋力やバランス能力に関係し骨折予防、転倒予防への効果が期待されています。反面、ビタミンDの欠乏や不足が2型糖尿病、認知症、脳梗塞、心筋梗塞、1型糖尿病を含む自己免疫疾患などの要因となることもわかってきました。寝たきり予防のためにも、ビタミンDの健康効果は覚えておきたいですね。

骨折・転倒を防いで寝たきり予防

1度転ぶとその後の1年間で再び転倒する危険性は約5倍になるといわれています。骨折を予防するためには、転倒経験の有無にかかわらず、自分の転びやすさを知って、転ばないように注意することが大切です。定期的な運動で筋力やバランス能力をつけるとともに、適切な血糖コントロールも転倒予防に有効です。 食事はカルシウムとビタミンDが豊富な魚中心の和食がおすすめです。ビタミンDはカルシウムの吸収をよくすることで知られていますが、骨折・転倒を予防する効果も期待されています。 高齢者の転倒の多くは室内で起こっていますので、身の回りの整理整頓を心がけることが転倒予防につながります。 骨粗しょう症の予防のためには、50歳を過ぎたら医療機関で骨の状態を調べておくことが大切です。2型糖尿病のように骨量減少がみられなくても骨折リスクが高い場合がありますので、かかりつけの先生に相談しましょう。

(監修/荒木 厚 先生:東京都健康長寿医療センター 糖尿病・代謝・内分泌内科 内科総括部長)
後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai