骨粗鬆症

続発性関節リウマチのある方

関節リウマチ(以下、RAとします)では、その病期や治療に応じて骨粗鬆症が発生することが知られています。

まず、RAの初期では、罹患関節の滑膜細胞、マクロファージそしてリンパ球から産生されるインターロイキン-1、インターロイキン-6、プロスタグランディンE2などの生理活性物質が、骨をこわす細胞(破骨細胞)を活性化して、罹患関節近傍の骨の密度を低下させます(傍関節性骨粗鬆症)。さらに病期が進行すれば、疼痛のために体を動かすことが困難となり、その結果、次第に全身の骨の密度が低下してまいります(全身性骨粗鬆症)。

また、RAの治療薬の副作用でも、骨密度が低下して骨粗鬆症になります。たとえばステロイド剤の副作用では、骨をつくる細胞である骨芽細胞の活性を低下させるとともに破骨細胞の活性を高め、その結果、骨密度を低下させて骨折が起こしやすくなります(ステロイド骨粗鬆症)。ステロイド骨粗鬆症の好発部位は、海綿骨に富んだ脊椎椎体であり、軽微な外力で脊椎圧迫骨折を発生させます。興味深い点は、ステロイド剤による骨への作用には明らかな個体差があることが知られており、長期間のステロイド剤内服にもかかわらず、ステロイド骨粗鬆症にならない方もおられます。

RAの診断に際しては、アメリカリウマチ協会(ARA)の診断基準に基づき、身体所見、単純X線学的検査そして血液学的検査の各々について検討が行われます。血液学的検査では、血清リウマチ因子(RA、RAHA)を診断基準の一項目として調べ、RAの病勢や治療効果の判定には、炎症反応であるCRPや赤沈を経時的に追跡します。

RAに続発する骨粗鬆症の評価には、原発性骨粗鬆症と同様に、骨代謝マーカーや骨密度の測定が不可欠です。
骨吸収マーカーが高い場合は、今後の骨密度の低下や骨折発生の危険性が高いことを示唆します。骨密度の測定は、原発性骨粗鬆症と同様に、腰椎正面平均骨密度を測定することが多いのですが、RAの初期では関節近傍の骨粗鬆症がみられることから、手首の骨である橈骨遠位端骨密度の測定も好ましいと思います。全身性骨粗鬆症を調べるためには、全身骨骨密度の測定も行われます。

RAに続発する骨粗鬆症の治療は、薬物療法とリハビリテーションに分けることができます。RAそのものの薬物療法は、骨粗鬆症の予防に直結します。RAによる関節破壊は、発症から数年以内に生じることが明らかにされており、RAに合併する骨萎縮の予防には、RAの早期診断、早期治療が不可欠といえます。

RAを早期に診断し、抗リウマチ薬により早期に治療することにより、関節における滑膜炎の進展を抑え、関節軟骨の破壊予防のみならず傍関節性骨粗鬆症の発生を抑えます。最近、RAに続発する骨粗鬆症の薬物療法として、骨代謝改善剤のうち骨吸収抑制剤が選択されることが増えてきました。ステロイド剤の副作用として骨粗鬆症が発生した時には、骨吸収抑制剤が第一選択となるでしょう。

RAに対するリハビリテーションでは、関節機能の維持を目的とします。RAに罹患した関節では、軟骨がもろくなっていますので、愛護的に運動療法を行わねばなりません。

疼痛や腫脹がつよくて関節を動かすことができないときには、装具を用いて関節の安静を図り、疼痛の程度が軽くなれば装具をはずして、自分自身でゆっくりと関節を全可動域について動かします。強い抵抗を加えた筋力増強訓練は、関節軟骨の破壊をもたらしますので、好ましくありません。運動前に、温熱療法で関節を温めて軟部組織を柔らかくしておけば、関節運動時の疼痛を軽くすることができます。

以前から、RAのリハビリテーションとして温泉療法や水治療法が行われて参りました。温泉や温水プールの中で、浮力により体重の影響を減らし、静水圧に抗して運動すれば、筋力や筋持久力の増強、関節可動域の改善、骨密度の増加が期待できます。

(監修 / 高田信二郎先生:徳島大学医学部整形外科)

 

後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai