骨粗鬆症

腎疾患に伴う腎機能の低下がある方

腎臓の働きが低下すると、尿の排泄が悪くなるだけでなく、腸管からのカルシウム吸収を促す活性型ビタミンDの産生が低下します。その結果、血液中のカルシウムを補うために骨からカルシウムが溶け出し、骨量が減少します。


1. 慢性腎臓病(CKD)による骨障害

腎臓はビタミンDの活性化など体内のカルシウムバランスの維持に大きく関わっているため、症状の進行とともに骨障害も増加します。特に腎透析患者さんでは約30%の人に骨障害の症状がみられるというデータがあります。透析開始の平均年齢は62歳、女性の場合はすでに閉経期をすぎているわけですから、骨障害のリスクはなおさら高いといえます。事実、骨障害は透析療法の長期化に伴って増加する合併症の最たるものであり、さらに骨折に伴い一気に全身状態が悪化する例が多いため、患者さんのQOLの面ばかりでなく生命予後にも影響する重大な問題となっています。

2. 慢性腎臓病(CKD)による骨障害とは

慢性腎臓病(CKD)患者の骨障害は多彩な病態を示しますが、総称して腎性骨異栄養症(ROD)と呼ばれ、

■二次性副甲状腺機能亢進症により骨吸収と骨形成が激しい状態(高回転骨)で、骨量が減少し、それに伴って生ずる線維性骨炎

■アルミニウムの蓄積による骨軟化症

■副甲状腺ホルモンが低すぎるために骨形成ができなくなっている無形成骨

の3つに大別されます。

骨粗鬆症とは、骨の主成分に変化がないまま、骨の新陳代謝のバランスがくずれて骨吸収が骨形成を上回り、骨量が減少して、その結果骨折しやすくなった病態を指しますので、RODの全てを続発性骨粗鬆症と捉えるには少し問題があるかもしれません。

ここではRODの中でも多くを占める二次性副甲状腺機能亢進症による線維性骨炎について説明します。


3. 線維性骨炎はなぜ起こるか?

活性型ビタミンDはカルシウム吸収に重要な役割を果たしていますが、腎機能が低下すると腎臓の担うビタミンDの活性化も低下し、腸管からのカルシウム吸収が低下して、血中カルシウム値の低下を引き起こします。副甲状腺は血中カルシウムのセンサーであり、血中カルシウム値の低下を感知すると副甲状腺ホルモンを分泌して、そのバランスを整えようとします。

副甲状腺ホルモンは腎臓でのビタミンDの活性化を促進するほか、腎臓でのカルシウム再吸収を促進し、さらに骨へも直接作用して骨吸収を促進して、血中にカルシウムを放出させます。このようにして副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態(=二次性副甲状腺機能亢進症)が続くと、骨吸収も骨形成も亢進した状態(高回転骨)になり、やがて加速した骨吸収のスピードに骨形成が追いつかなくなって骨量の減少につながります。骨髄内に線維が増生しているのが特徴で、線維性骨炎と呼ばれます。

骨痛、関節痛があり、進行すると手指の先や身長の短縮、胸郭の変形が生じますが、活性型ビタミンDの治療への応用により、今日ではこのような重篤な症例は少なくなっています。


4. 線維性骨炎の診断と治療法

慢性腎臓病(CKD)患者さんの線維性骨炎は二次性副甲状腺機能亢進症によって起こるため、まずその診断と治療が優先されます。診断は血液検査での血清カルシウム、リン、副甲状腺ホルモン値などの測定が中心となりますが、より正確に骨の状態を把握するために、骨代謝マーカーが使われます。

また骨塩量の測定にはDXA法などが使われますが、透析患者さんの場合は、血管の石灰化などにより信頼できる値がでないこともありますので注意が必要です。X線による画像診断も、特に線維性骨炎では特異的なX線画像が得られるので有効です。

治療の基本は副甲状腺ホルモンの分泌抑制であり、カルシウム摂取と活性型ビタミンDの投与が中心となります。但し慢性腎臓病(CKD)、特に透析患者さんの場合には食物や水分の制限など様々なコントロールが必要であり、また二次性副甲状腺機能亢進症が進行すると逆に高カルシウム血症も問題となります。

活性型ビタミンDもその処方にあたっては、常に腎機能(血清クレアチニン値)と血清カルシウム値をモニターするなど細心の注意が必要です。


(監修/塚本雄介先生:(医)秀和綜合病院副院長・腎臓ネット代表)

 

後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai