骨粗鬆症

整形外科医の治療方針

整形外科を骨粗鬆症患者さんが受診されるきっかけとして多くみられるのは、検診で骨量測定をして骨量が少ないことが判明した場合や腰痛や骨折のため整形外科を受診され、骨粗鬆症が発見された場合です。どのような場合でも、治療を受けることで骨量の減少をある程度抑えたり、進行を遅らせたりすることができます。治療は、骨折の有無や骨量、転倒リスクによって薬物療法を行うか決定します。


薬物療法を開始するケース(閉経以降の女性か50歳以降の男性の場合)
  1. 大腿骨または背骨の骨折がある
  2. 大腿骨または背骨以外に骨折があり、骨量が若い人の平均値の80%未満の場合
  3. 骨量が若い人の70%未満の場合
  4. 骨量が若い人の70%以上80%未満で、FRAX®(WHO開発の10年以内の骨折リスク)が15%以上の場合
  5. 骨量が若い人の70%以上80%未満で、家族内に大腿骨骨折の経験者がある場合

どのような薬剤を選択、組み合わせるかは、骨粗鬆症の病態、患者さんの年齢、ほかの疾患の有無や程度などにより決定します。
例えば、骨折経験者や骨折リスクが高い人、75歳以上の骨量の低い人には、骨の破壊(骨吸収)を強力に抑える働きがあるビスホスホネート製剤が用いられ、骨折のリスクがそれほど高くない50から60歳代の比較的若い世代の女性にはSERM(サーム)が用いられます。

また、従来からあるビスホスホネート製剤は、「起床後すぐに服用し、その後30分は水以外を飲んだり食べたりしてはいけない」などの服用制限はあるものの、毎日の内服薬のほかに週1回、4週に1回、月1回の内服薬、4週ごとに30分以上かけての点滴静注剤、月1回の注射薬があります。同じ薬剤においても服用方法が異なりますので、内服が難しい、認知症である、一度に内服する薬の種類が多いなど患者さんの状況にあわせて治療効果が期待できる薬剤を選択します。

骨粗鬆症の薬物治療における服薬状況は,治療開始 後1年で半数近くが処方どおりの服薬ができず、5年以内 に半数以上が脱落してしまうとされています。服薬率 が低下しますと、骨粗鬆症の進行や結果として骨折、再骨折の要因となってしまいます。また、服薬は長期にわたるため、保険適用、ジェネリックの有無など経済面での配慮も必要です。

整形外科においては、患者さんの年齢や骨量、骨折リスクによって薬物療法を開始し、治療薬の効果と同時に服薬方法、服薬継続という点も考慮して骨粗鬆症の治療を進めていきます。



(監修 / 萩野 浩先生:鳥取大学医学部保健学科 教授)

後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai