関節痛〜ひざ・肩〜

変形性ひざ関節症 治療の実際 [受診レポート]

60代女性 「親子で整形外科を受診しました!」(母編)

おしゃれなHさんおしゃれで好奇心も旺盛なHさん、68歳の女性
とても若々しく見えますが5年ほど前からひざに痛みを感じるようになりました。血糖値が若干高かったこともあり、医師のアドバイスで食生活に気をつけ、体重を増やさないようにして日常生活に支障はなくなったものの、長時間歩くとやはりひざがいたくなります。娘さんのA子さんの勧めもあって、思い切って整形外科を受診することにしました。
Hさんのひざを診てくださったのは、近畿大学医学部堺病院整形外科の菊池啓先生です。


 

受診を決めたら

整形外科を予約します。いままでの経過や症状はメモしておきます。
(メモの内容:いつごろから、どんなときに、どこが痛むのか。痛みの程度やどのくらい持続するか。ひざの怪我の経験があれば、いつごろ、どのような怪我か。)
ひざや脚を診てもらうため当日の服装は、スカートは避けてゆったりしたシルエットのズボンを選びました。

整形外科の受付で

まず問診票を渡され、必要事項を記入します。持参したメモが役立ちました。次に、患部のレントゲン撮影、血液検査、尿検査、骨密度測定を指示され、検査室に移動。60代の女性ということで、ひざの検査だけでなく念のため、骨粗鬆症の検診も受けることに。Hさんの話では、採血のための肘の上まで捲りやすい服装、太ももまで捲り上げられるズボン、脱ぎ着がしやすいソックスなどが検査に適していた、とのことです。
終了後、待合室まで戻ると、まもなく名前を呼ばれました。いよいよ診察です。

まず問診

問診票を見ながら、さらに先生からいくつかの質問がありました。

先生 どんなときに痛みますか?
Hさん ウォーキングが好きでよく歩きますが、長く歩くと、その日ではなく翌日になって痛むことが多いんです。
先生 年齢とともに、骨を支える筋肉も弱ってきますし、いろいろなトラブルが増えてきます。痛みの感じ方も変わってくるんですよ。また、女性の場合ホルモンの影響も大きいので……閉経はいつ頃ですか?お子さんは?
Hさん 閉経は50歳。子どもは3人です。
先生 このところの体重の変化は?
Hさん 最近ではありませんが、糖尿病のリスクが高いので医師から痩せるように言われ、3年間で約4キロほど体重を落としました。
先生 いまはとってもスマートですね。

ユーモアもまじえて、とても親しみやすい先生でHさんの緊張もとけた様子です。

レントゲン写真を見ながら

レントゲン検査(X線画像)では、ひざ関節の形や変形の程度、関節の隙間の状態から軟骨の減り具合などがわかります。先程、撮影したX線写真を見ながら先生から説明がありました。それによるとHさんの脚はO脚になってきて、本来あるべき上下の骨の隙間も狭く、半月板(ひざのお皿)もやや変形してきているとのこと。O脚になると靴底の外側が減りやすいとの指摘もありました。

触診

先生が診察台に横になったHさんのひざに触れながら、ひざの屈伸や回転をさせます。動かしながら痛みの箇所や、音がするかどうか、腫れやゆがみがあるかを診ていきます。
Hさんの痛みはやはり筋肉痛ではなく、ひざの変形性の痛みであること。Hさんの訴えにあった左ひざよりはむしろ右ひざの変形の方が進んでいること。ただし、ひざの動きはよく、水も溜まっていないし、半月板の変形もひどくない、ということがわかりました。
触診のイメージ写真

診断とアドバイス

さまざまな検査から、Hさんは変形性ひざ関節症の初期と診断されました。ヒアルロン酸注射の適応がありますが、現在のところ変形の程度も症状もひどくないので、1ヶ月ほど生活改善してから考えましょう、とのことでした。すぐに痛み止めに頼るのではなく、経時変化をみながら、必要に応じた治療法を見極めていくことが大切なのです。痛みには専用の装具や薬、ヒアルロン酸注射などさまざまな対処法があるので、心配しないでもよいという先生の言葉にまずひと安心。
予防は一番積極的な治療法とのこと。そのポイントも説明してくださいました。

予防のポイント

適度な運動(歩くことはベスト。よりひざへの負担が少ない水中運動や自転車こぎなどもお勧め)でひざ周辺の筋肉を鍛えること。
立ったり座ったり、しゃがんだりの多い和風の生活様式は足腰を丈夫にする。
食生活に気をつけて肥満や骨粗鬆症を防ぐ。
ひざ周辺には筋肉が少ないため冷えやすいのでよく温めること。手のひらで温めるだけでも十分。また外から温めるばかりでなく、自ら温まるよう運動などで血行をよくする。
体重や血圧などと同じように骨や関節にも関心を持って、常に自分のからだの状態を把握しておくこと。
ヒアルロン酸注射ってどんなもの?

「ヒアルロン酸注射」という言葉を初めて耳にしてたHさんは、どんなものだろうかと思い、先生に説明していただきました。Hさんには「1か月ほどしてから」というのが先生の診断でしたが、変形や痛みがもう少し進行してしまったら「使ってみたい」というのがHさんの感想でした。

ヒアルロン酸=関節軟骨や関節液に含まれる成分のひとつ

ヒアルロン酸をひざ関節内に直接注入(注射)することにより「関節軟骨の表面を保護して炎症を抑える」「ひざ関節の動きを滑らかにする」「関節軟骨に栄養を与える」といった効果があり、痛みの軽減が期待できます。ヒアルロン酸注射は痛みの強さに関わらず使用できますが、初期の軽い痛みのうちに使うとより効果的です。

(監修:菊池啓先生 / 近畿大学医学部堺病院整形外科)

後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai