インタビュー

40代以上の女性に多くみられるひざの病気「変形性ひざ関節症」。日本には、2千万人以上いると推測されていますが、実際に医療機関にかかっているのは3割程度といわれています。 ひざの痛みや違和感を年齢や疲れのためと考えずに、早期に整形外科などの専門医にみてもらうことで、病気の進行を遅らせることができます。 実際にどのタイミングで受診すればいいのか、専門家に聞いてみました。

宗田 大(むねた たけし)先生

東京医科歯科大学医学部付属病院 整形外科
東京医科歯科大学大学院運動器外科学 教授

東京・御茶ノ水駅から御茶の水橋を渡ると正面に東京医科歯科大学医学部附属病院があります。同院整形外科は、より高度で良質な医療を必要とする方や早期に第一線への復帰を希望する一流アスリートの治療が多いことが特徴です。宗田先生ご自身も、ロンドンオリンピックは逃しましたが、全日本選手を多く送り出している東レアローズ男子バレーボールチームのチームドクターでいらっしゃいます。

ひざにどのような症状が現れたら、受診したほうが良いのでしょうか。

ほかの病気同様、変形性ひざ関節症などのひざの病気についても、早期発見・早期治療が第一です。ですから、どんな症状でも気になったら受診したほうがいいですね。信頼できる専門医に診てもらうことで、ひざの老化の程度や内側、外側、お皿などひざのどの部分が悪いのかを知っておきましょう。正しい診断のためには、痛みが片方のみの場合でも両ひざのレントゲン写真を撮るべきですが、ひざを曲げて体重をかけた状態で撮影をすることで、老化の程度など正しい診断が可能です。

特にすぐに受診したほうが良いのは、ひざに腫れや熱がある場合です。ひざに炎症が起き、腫れや熱があると強い痛みが生じますが、痛み止めと安静で、無理をしなければたいていは痛みが治まります。受診が遅れ、ひざに炎症の起きている状態が長く続くと、軟骨がどんどん減ってしまいますので、それだけ治療も難しくなります。変形性ひざ関節症の治療に有効なヒアルロン酸の注射も、治療開始が早ければ早いほど効果的です。

中高年になるとひざの痛みはめずらしいことではありません。それでも、受診したほうが良いのでしょうか。

中高年のひざの病気である変形性ひざ関節症は、ひざ軟骨の老化が原因です。老化自体は仕方ありませんが、痛みという症状があれば病気として治療が必要です。診断により痛みの種類にあった治療をすることで改善できることも多いので、ひざの痛みは年のせい、としてあきらめてしまうことはとても残念なことです。

ひざの痛みには、腫れに伴う痛みと腫れが治った後に硬くなった関節を動かそうとして感じる痛みがあります。前者はヒアルロン酸の注射が効果的ですが、後者の痛みにはストレッチが有効です。このように痛みの種類の見極めも、専門医を受診したほうが良い理由です。

早く受診することのメリットはなんですか。

多くの患者さんをみていてわかったことは、軟骨のすり減り具合と痛みの強弱は別物だということです。軟骨がどの程度まですり減るとどの程度の痛みを感じるか、痛みの感じ方には個人差があります。痛みが強いからと言って必ずしも軟骨のすり減りが大きいわけではありません。逆に言えば、ご自身にとってはそれほど辛い痛みではなかったとしても、軟骨のすり減りはかなり進行していることもあるのです。だからこそ、痛みや気になる症状があれば、早めに受診することをおすすめします。早期の治療で軟骨のすり減りを食い止め、できるだけ良い状態を維持することが可能になります。

受診の時期を迷っている方へ

一言で痛みと言っても、その程度や痛む部分、痛みの種類は様々ですし、痛みの強さと軟骨の老化の状態も人それぞれです。正しい診断と適切な治療、さらには患者さん自身のセルフケアによって痛みをコントロールできるケースも少なくありません。実際に適切な治療を受け、適正体重の維持や痛みをとるためのストレッチを続けるなど患者さん自身が努力することで、痛みから解放される場合が多くあります。年齢のせいとあきらめるのではなく、ひざの状態が悪化する前に受診することをおすすめします。そして、ひざの痛みのない快適な毎日を送っていただきたいですね。

宗田 大先生のプロフィール

1979年東京医科歯科大学医学部卒業。同大学整形外科学教室講師を経て、2000年より現職。専門はスポーツ医学、膝関節学を中心とした関節外科学。プロスポーツ選手をはじめ、日々の診療で多くの患者さんのひざの痛みや症状の改善に取り組んでいる。東レアローズ男子バレーボールチームのチームドクターでもある。

主な著書)「ひざ・股関節の痛みをとる安心読本」(主婦と生活社, 2008年)、「膝痛 知る診る治す」(メジカルビュー社, 2007年)、「復帰をめざすスポーツ整形外科」(メジカルビュー社, 2011年)、「痛みとりストレッチ」(青春出版社, 2011年)

東京医科歯科大学医学部附属病院
住所 〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45
電話 03-3813-6111(代)
ホームページ http://www.tmd.ac.jp/medhospital/index.html



後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai