インタビュー

RICHBONEサイトは、2001年4月に開設し、本年4月で15周年を迎えます。

この間、日本の高齢化の進展、医学の進歩、情報化の発展など、骨や関節などRICHBONEをとりまく環境が変化してきました。 開設当初より、アドバイザーとして15年間RICHBONEサイトをサポートしてくださいました林泰史先生に、これまでの変化と骨粗鬆症や変形性ひざ関節症の治療と予防の最新事情、今後についてお話をうかがいました。

林泰史先生
RICHBONE総アドバイザー
(はやし やすふみ)先生

原宿リハビリテーション病院 名誉院長

専門
リハビリテーション医学、整形外科学、老年病学
1964年 京都府立医科大学医学部卒
1965年 東京大学整形外科学教室入局
1986年 東京都老人医療センターリハビリテーション部長
1995年 東京都衛生局技監・東京都精神科学研究所所長
2002年 東京都老人医療センター病院長・東京都老人総合研究所所長
2006年 東京都リハビリテーション病院病院長
2014年 赤羽リハビリテーション病院勤務(非常勤)
2015年 一般社団法人 巨樹の会 原宿リハビリテーション病院

この15年間で、日本においては高齢化が現実のものとなりました。それとともに、「健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)」が注目され、平均寿命と健康寿命の差を縮めることが課題と言われています。

高齢化社会が進み、骨や関節疾患による要支援者が急増

介護保険制度が始まった平成12年度(2000年)には要介護または要支援*と認定された者は、約256万人でした。それが、2013年には約584万人となり、この13年間で2.3倍となりました。とくに要支援者の増加率は大きく、5倍となっています。

*「要介護状態」とは、身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、原則6ヶ月間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態(法第7条第1項)。
「要支援状態」とは、身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について原則6ヶ月間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれる状態(法第7条第2項)。

介護保険認定者数
平成25年度介護保険事業状況報告(年報)より

要支援の原因は、「関節疾患(21%)」、「高齢による衰弱(16%)」、「転倒・骨折(15%)」となっており、要支援の3分の1以上が骨や関節の疾患が要因ということです。さらには、「高齢による衰弱」の多くが「廃用症候群」(活動量が低下したことで筋肉の衰えや関節の不調、骨が脆弱化などを引き起こす状態)によることを考慮すると、要支援者のうち約半数が骨や関節の疾患が要因とも言えます。

平成25年度国民生活基礎調査 〜 要支援・要介護の原因〜

健康寿命を伸ばすためには骨や関節の健康維持が重要です

2013年の日本人の平均寿命は、女性86.61歳で2年連続世界一、男性は80.21歳となり初めて80歳を超えました(厚生労働省2014年8月)。これは素晴らしいことです。一方で、日常生活に制限のない期間である、健康寿命は女性が74.21歳、男性が71.19歳(厚生労働省2014年10月)と平均寿命に対して短く、平均寿命と健康寿命の差は、女性が12.40年間、男性が9.02年間あります。この間は、持病のため日常的な服薬や介護が必要な状態ということになります。

日本人の平均寿命と健康寿命

要介護者の原因疾患は、70歳代までは「転倒・骨折」「関節疾患」「高齢による衰弱」の運動器関連よりも「脳血管疾患」が多くなりますが、80歳代以降はこれらの運動器関連が最も多くなります。つまり高齢者になればなるほど、運動器関連の疾患が原因で介護が必要になるというわけです。世界有数の長寿国である日本にとって、健康寿命の延伸は取り組むべき大きな課題となっています。住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるようにするためにも、骨や関節などの健康維持に取り組むことは非常に重要なのです。

要介護者の原因疾患

(林泰史;Osteoporosis Japan 21(1):36-37,2013より)


後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai