アドバイザーからのメッセージ
2016年

総アドバイザー
先生
原宿リハビリテーション病院 名誉院長

RICHBONE15周年スペシャルインタビュー

この15年、日本の少子高齢化社会の進展、医学の進歩、情報化の発展などRICHBONEをとりまく環境が変化してきました。開設当初より、アドバイザーとしてRICHBONEサイトをサポートしてくださいました林泰史先生にお話をうかがいました。

詳しくはこちらをご覧ください。

骨粗しょう症編アドバイザー
萩野 浩 先生
鳥取大学医学部保健学科 教授

“骨の健康”のためには毎日の努力が必要。

Q
【一般の方・患者さん側の変化】RICHBONEサイトが開設から15周年を迎えることとなりました。この15年間で、日本は超高齢化社会となり、健康寿命の延伸のための取り組みがなされています。一般の方の骨粗しょう症の認知や関心、患者さんの意識に変化はみられていますか。※介護予防のための骨粗しょう症予防/治療という意識がありますか。
ピンピンコロリが多くの方の望みではないでしょうか?骨粗鬆症の治療をすることが、骨折を防止し、その結果、介護状態になるのを防ぎ健康寿命を延ばすことになります。年々、この点について広く理解されるようになっています。しかしながら、「毎日運動をしているから大丈夫」、「牛乳をきちんと飲んでカルシウムは摂っているから心配ない」と考えておられる方も多いように思われます。骨粗鬆症は様々な原因で起こる『多因子』疾患です。ご自分の骨を過信するのは危険です。
Q
【医学・医療側の変化】骨粗鬆症に関しては、2010年代から新しい治療薬の開発や医療体制の構築(リエゾンサービス)などが進んできました。このような動きの背景と現在の骨粗鬆症の治療の考え方について教えてください。
骨折の連鎖を絶つことの重要性が認識されるようになりました。これまでの研究結果から大腿骨近位部骨折の50%の人はこれまでにどこかの脆弱性骨折を起こした人のなかから発生することが明らかになっています。ところが脆弱性骨折を起こした方の1/5以下しか、骨折予防のための適切な治療がなされていませんでした。そこでこの状況を改善する目的で、リエゾンサービスが始まりました。リエゾンサービスは骨粗鬆症の治療にかかわる医師、看護師、薬剤師、理学療法士などたくさんの職種が連携して骨折を防ぐ取り組みで、全国各地でその成果が上がってきています。
Q
【アドバイザーからのメッセージ】いまの“高齢者”は元気で活動的な印象を受けますが、いつまでも自分らしくいきいき過ごすための“骨の健康法”のヒントを教えてください。
骨は、毎日、新陳代謝をしています。この新陳代謝は、若い時には、新しくできる骨の量と、古くなって壊されていく骨の量がつりあっていますが、閉経や加齢によってそのバランスが悪くなると、骨粗鬆症が起こってしまいます。ですので“骨の健康”のためには毎日の努力が必要です。 運動が骨粗鬆症の予防に役立つことはよく知られていると思いますが、どのような運動が良いかは十分には知られていません。骨の形成を保つには、骨に適度な刺激を与えること必要ですので、下肢の筋力を強化する運動、体重がかかる運動、リズミカルなウオーキングがお勧めです。転倒防止のためにはバランス練習も取り入れてください。 食事から摂るカルシウム、ビタミンD、ビタミンKも“骨の健康”には欠かせません。カルシウムとビタミンDは日本人では現在も不足していることが分かっています。ご高齢になりますと、タンパク質が不足する方が多くなってきますので、良質のたんぱく質をきちんと食事でとっていただくことも大切です。 骨の丈夫さは骨密度を測るとよくわかりますので、一度は検査されるのが良いと思われます。そして骨粗鬆症と診断されたら、運動療法、食事療法に加えて、薬物療法も必要となることを理解しておいてください。
関節編アドバイザー
大森 豪 先生
新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科 教授

積極的なひざの曲げ伸ばしと太ももの筋力訓練でひざを健康に。

Q
【一般の方・患者さん側の変化】RICHBONEサイトが開設から15周年を迎えることとなりました。この15年間で、日本は超高齢化社会となり、健康寿命の延伸のための取り組みがなされています。一般の方の変形ひざ関節症の認知や関心、患者さんの意識に変化はありましたか。
近年、「健康寿命」や「生活の質:QOL」という言葉に対する一般の方々の理解が高まるとともに、健康を維持するための運動器の重要性も認知されるようになってきたと思います。ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は、運動器の機能低下により寝たきりを含めた介護が必要になる危険性がある状態を示しています。そして、変形性ひざ関節症はロコモティブシンドロームの主要な原因疾患の1つとなっています。私たちの健康寿命の延伸とQOLの維持のためには「動ける」という事が最も大切な要素であり、その点で起立歩行に大きな役割を担うひざ関節の機能や加齢とともに生ずる変形性ひざ関節症の予防や治療に対する関心も高まっていると感じています。
Q
【医学・医療側の変化】変形性ひざ関節症に関して、疫学調査や診断・治療技術が進んできました。これらを踏まえて、現在の変形性ひざ関節症治療の考え方について教えてください。
従来、変形性ひざ関節症の治療は医療機関において診断を受けた後、ひざ関節症の程度、症状の強さ、患者さんの希望に応じて適切な治療(保存治療および手術治療)が行われてきました。近年、我が国における大規模もしくは長期の疫学調査により、変形性ひざ関節症の発症や進行に影響する複数の危険因子(高齢、女性、肥満、O脚、下肢の筋力低下など)が明らかになっています。さらに、MRI検査によりひざ関節の軟骨の変化が詳細に評価できるようになりました。したがって、変形性ひざ関節症の治療は現在の治療が発展するとともに、今後、発症予防と進行抑制にもより大きな関心が高まっていくと考えられます。
Q
【アドバイザーからのメッセージ】いまの“高齢者”は元気で活動的な印象を受けますが、いつまでも自分らしくいきいき過ごすための“ひざの健康法”のヒントを教えてください。
そもそも関節の機能は「動くこと:可動性」と「支えること:支持性」であり、この基本機能が損なわれると様々な症状が出現するようになります。したがって、関節の健康を保つためには可動性と支持性を維持することが大切です。ひざ関節の場合には、可動性を保つために積極的な曲げ伸ばしの訓練が大切であり、支持性を保つためには太ももの筋肉である大腿四頭筋とハムストリング筋や股関節外転筋などの筋力訓練が有効です。ひざ関節は脚の真ん中に位置し、私たちの日常生活における基本動作である起立歩行の中心的な役割を担っています。ひざ関節の健康を維持していつまでも元気に動き、自分らしくいきいきと過ごしていただきたいと思います。
転倒予防編アドバイザー
武藤 芳照 先生
日本転倒予防学会 理事長/学校法人日本体育大学日体大総合研究所 所長/日本体育大学 特別招聘教授

高齢者自身と周囲の人がともに転倒予防に取り組む。

Q
【社会の変化】RICHBONEサイトが開設から15周年を迎えることとなりました。この15年間で、日本は超高齢化社会となり、健康寿命の延伸のための取り組みがなされています。高齢者は転びやすいと言われていますが、実際に高齢者はどのようなことで転倒するのでしょうか。
高齢者の転倒の原因はいくつか考えられます。誰でも若い時に比べ、年齢を重ねれば重ねるほど転倒しやすくなります。また、病気や薬の影響でも転倒リスクは上昇します。例えば、パーキンソン病、脳卒中の後遺症、網膜症や末梢神経障害などの合併症がある糖尿病や、危険予測や判断力が低下する認知症は特に転倒しやすい病気です。眠気やふらつきが起こりやすい薬や、飲んでいる薬の種類が多い場合も、転倒のリスクが高まります。このような「転びやすい状態の人」が、すべりやすい道路・床面を歩いたり、住宅の小さな段差に足をひっかけたりすることで、実際に転んでしまうのです。
Q
【健康長寿社会に向けた取り組み】転倒予防が“寝たきり・介護”の予防の観点で重要とのことですが、その理由を具体的に教えてください。
高齢者にとって転倒を予防することが重要なのは、転倒が骨折を招き、寝たきり・介護、ときには死亡の原因となるからです。転倒による死亡は、頭部や顔面を強打して重篤な脳損傷をきたす直接的なケースだけではありません。例えば、転倒によって足の付け根(大腿骨近位部)を骨折すると、歩行困難から寝たきり・要介護状態になり、全身が弱ってしまい、結果として死亡に至ることがあります。寝たきりにならなくても、一度骨折すると転倒に対する強い恐怖感をもち、自宅に閉じこもりがちになることで、日常的な活動量が極端に落ちてフレイルの状態(からだと気持ちが全体的に弱くなる、要介護の前段階にみられる状態)に陥る危険性があります。
Q
【アドバイザーからのメッセージ】転倒を予防するにはどのようなことから始めれば良いのでしょう。
寝たきり・要介護の原因にもなる転倒は、普段から予防することが大切です。「なぜ転びやすいのか」をご自身だけではなく家族と一緒に考えてみましょう。そのうえで、転びやすさの要因を見極め、転ばないようにするために生活の環境などを改善することが必要です。加齢はどうすることもできませんが、運動不足の解消や家の中の整理整頓、かかりつけ医への相談など、できることからはじめましょう。
後援:日本骨粗鬆学会、(C)yutakanahone-suishin-iinkai